"前と比べて"という言葉を、人はいとも簡単に口にします。
「前と比べて味が落ちた」とか、「前と比べて重くなった」とか。
これ、呪いだなと思うんです。
前と比べて何になるんですか。たまたま前回が良かっただけかも知れない。
昨日と今日、全く同じ組成の人間はいないでしょう。体調ひとつとってもばらつきがある。
なのに、「前と比べて」ときたもんですよ。
前と同じじゃないのは自分かも知れないと、なぜ思わないのか。
仮に前と比べて…と思っても、なぜそれを口に出すのか。
一度口に出した言葉は、もう二度と消えませんよ。
誰かの心や記憶に刻み込まれてしまったら、もう消す術はないんです。
見ないことも出来る、探さないことも出来るインターネットより酷いかも知れない。
誰かの心に黒い影を落とす言葉というものを、我々は軽々しく弄びすぎているのかも知れません。
言葉に頼らない人間はもはや人間ではないのでしょうが。
スポンサーサイト